元木 康浩 自己紹介へ

「断熱なんて必要ないよ!」と言われた方へ

こんにちは、セイコーハウジングの元木です。

 

私はまだ日本の家づくりにおいて「断熱」の重要性が今ほどまでに浸透していなかった30年以上前から、断熱にこだわった家づくりをしています。

 

では、なんで私が「断熱」にこだわる家づくりをしているのか、今回は日本の現状とデータを交えてお話しできたらと思います。

 

今回はちょっとマニアックかもしれません。笑 

 

日本の断熱施工状況は、他の北欧や欧米諸国と比較すると遅れをとっていると言われています。現に、日本の住宅の多くは十分な断熱性能を備えていません。2017年時点のデータによると、昭和55年(1980年)以前に建てられた家の約32%が無断熱であり、断熱が施されていても、平成11年の基準に達していない家は約92%にものぼります。

 

結構、衝撃的な数字だと思いませんか?ほとんど家が基準を満たしていないのです。

断熱性能グラフ

出典:国土交通省「住宅ストック(約5,000万戸)の断熱性能」(統計データ・事業者アンケートなどより推計)(2017年度)



欧米では断熱リフォームが住宅市場の重要な一部を占めており、日本のリフォーム市場は、欧米に比べるとその規模が半分から3分の1程度に留まっています。

 

日本の住宅には断熱対策は必要がないからでしょうか?

 残念ながら違います!

 

日本は四季があり、冬は寒く夏は蒸し暑いという気候のため、断熱不足はヒートショックや熱中症の原因にもなるのです。したがって、断熱施工によって、このような健康リスクを軽減できます。また、断熱性を高めることにより光熱費の削減にも繋がります。現に、最近では日本の政府も補助金を出して断熱施工の普及に力を入れています。

 

  ヒートショックとは ▶︎  暖かい部屋から寒い部屋への移動など、温度の急な変化が体に与えるショックのこと

 

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では、なぜこんなにも差が生まれてしまったのか?

 

1. 歴史的背景

日本の伝統的な木造建築では通気性を重視した、自然な換気を優先する文化が根付いていました。その結果、断熱よりも風通しが良いことが重要視され、長年、断熱施工の重要性は軽視されてきました。近年は家の断熱性をあげることによる健康面のメリットやCO2削減や光熱費の削減、また国の補助金制度の強化や、省エネ基準の引き上げにより、断熱改修の実施割合が増加傾向にあります。

 

2. 技術や知識の不足

断熱施工には高度な技術や知識が必要です。以前は断熱に関する教育や研修の機会が限られていたため、技術が十分に普及していないことも影響しています。そのため、現在でも多くの工務店や大工さんへ断熱技術や材料についての専門知識が十分に備わっていない場合があります。

 

4. 法的基準と省エネ基準

欧米に比べて、日本の省エネ基準は緩く、断熱施工に関する法的な基準も長らく低く設定されていたため、業界全体での断熱施工への意識が遅れていました。近年では断熱性能の指標となるQ値やUa値が導入され、2025年には平成11年(1999年)の断熱基準が義務化される予定です。

 

悲しいことに...断熱施工の遅れは情報差から生まれてしまった差という事です。

 

下記に家づくりにおいて私が考える断熱施工が家づくりにおいて重要な理由をまとめてみました。「断熱施工も家づくりの時に大切にしよう!」と思っていただける方が少しでも増えると嬉しいです。

 

  健康への影響   

断熱性能が不十分だと、冬場の寒暖差によるヒートショックや湿気によるカビが健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に高齢者や小さな子どもがいる家庭では、断熱性能の向上が健康維持に役立ちます。

 

実は日本では、毎年「ヒートショック」によって亡くなる人の推計は約19,000人とされています。特に高齢者に多く、65歳以上の人々が大部分を占めています。ヒートショックは主に冬場に発生し、急激な温度変化による血圧の変動が原因で、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こします。この現象が主に脱衣所や浴室で見られるため、寒暖差を減らすことが予防において重要です。

 

また、家庭内での入浴中の事故は交通事故よりも多いことが指摘されており、そのリスクを減らすために脱衣所や浴室の温度管理や断熱改修が推奨されています​。断熱性能と健康の関係についてもう少し詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。

 

  快適な住環境の実現   

断熱性能が高い住宅は、各部屋の温度差が無くなることにより冬は暖かく夏は涼しい室内環境を維持でき、生活の質が向上します。

 

  光熱費の削減   

断熱対策がしっかりされていると、冷暖房の効率が良くなり、光熱費の削減につながります。日本のように四季がはっきりしている国では、冷暖房費の抑制効果が特に大きいです。

 

  環境への配慮   

断熱性の高い住宅はエネルギー消費量が少なく、CO2排出の削減に貢献します。エコな住宅作りは、環境問題が深刻化する中で重要な要素です。

 

  建物の寿命を延ばす   

断熱性能が高いと結露が発生しにくくなり、建物内部の腐食やカビの発生を防ぐことができます。これにより、建物の寿命を延ばし、メンテナンスコストの削減にもつながります。

新築に限らず、リノベーションでも断熱施工は快適な家づくりにおいてとても大切な施工です。これから家づくりをされる方、リノベーションを検討されている方はぜひ耐震だけでなく断熱施工も重視して家づくりを検討してみてください。

 

セイコーでは耐震・断熱を重視した家づくりを30年以上行っております。お客様のご予算やご要望に合わせて様々なご提案ができますので、お気軽にご相談ください!

 

また、セイコーハウジングでは「後悔しないリノベーションをしていただきたい」との想いから『リノベCafe 』というイベントを随時開催しております。スイーツを楽しみながら、リノベーションについての不安やお悩み事などお気軽に一緒にお話をしませんか?

 

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