“間取りを変えたいけど、耐震は大丈夫かな?”
そんな声を、お客様との打ち合わせでよく聞かれたります。
壁を取り払って広いLDKにしたい、お風呂をもっとゆったりさせたい―理想はどんどん膨らんでいく一方で、耐震性への心配もついて回るのだと思います。
正直なところ、この不安はとても大切な視点だと私は感じています。
今回は、弊社の自社リノベーションモデルハウス(徳島市内・築約45年)を事例に、間取りの自由度と耐震性をどう両立させているのかをお伝えしていきたいと思います。
Before:リノベーション前の外観

◎間取りを決める前に、私たちが必ずしていること
木造住宅には、建物の荷重を基礎まで伝える大切な役割を持つ柱があります。いわゆる「通し柱」や、構造上抜くことのできない「柱」がそれにあたります。
反対に、間仕切りのために立てられた「柱」などは、比較的自由に撤去できることが多いです。
ただ、図面を見ただけで「この柱は抜ける、抜けない」と判断するのは、実は簡単ではありません。実際に現場を直接見て、壁量計算という構造的な検討を行って、はじめて安全に撤去できるかどうかが分かってくるのです。
弊社では、耐震診断ソフトを使って建物全体の力の流れを解析し、リノベの際に外周部を中心に耐力壁(地震や台風の力を受け止めるために必要な構造上の壁)などを配置しながら、建物の中心と、硬さの中心の位置関係などを確認していきます。
このバランスが崩れると、地震の際に建物がねじれるような揺れ方をしやすくなり、耐震性が低下する原因になるのです。そのため、間取りを広くするために、柱や壁をむやみに取り除くことは決してありません。
こうした診断・計算を経たうえで、「取り除く柱や壁」を見極め、耐震性能を確保したうえで、お客様のご要望に合わせた最適な間取りをご提案しています。
◎ 築約45年の家が、ここまで変わります
ここからは、実際に弊社が手がけたリノベーションモデルハウス(築約45年)の施工事例をご紹介していきます。
◆ 外観 ◆
Before

After

施工前は、瓦屋根を備えた昔ながらの和風住宅でした。今回のリノベーションでは、既存の建物の形は活かしつつ、瓦屋根を撤去し鋼板葺きにし、外壁を張り替えることで新築と見分けがつかないほど、印象を大きく変えています。
また写真では分かりにくい部分ですが、建物の性能についても改修を行い、耐震性や断熱性を高めており、安心して長く暮らせる住まいへと整えています。
◆ 間取り ◆

リノベ前は、床の間付きの和室や、細かく仕切られたDK・リビングが中心の、昔ながらの間取りでした。
リノベ後は、この和室を、洋室とウォークインクローゼットに変更しました。DKとリビングはひとつながりの開放感のあるLDKにしています。ホールにあった階段やトイレの空間もLDKに取り込んでいます。 ※トイレの赤く塗られている部分のみ増築しております。
近年、お客様から特に多く寄せられるのが、「LDKを広くしたい」「開放感のある空間にしたい」、それに加えて「浴室や脱衣室をもう少し広くしたい」というご相談です。
今回のモデルハウスでも、浴室と洗面脱衣室を拡張し、使いやすくゆとりのある水まわりへと整えました。2階は、和室2部屋を洋室へ変更し、ウォークインクローゼットを設けました。和室中心だった住まいを、現在の暮らしに合う間取りへ見直しました。

今回のリノベーションではこのように大幅な間取り変更を実施しましたが、「上部構造評点」は、次のように向上しました。
【上部構造評点(住宅の耐震性能を表す数値)】
リノベーション前:0.4
リノベーション後:1.5
このように、築45年の住宅でも、建物の構造を丁寧に確認しながら施工していくことで、間取りを大きく変更しつつも耐震性と暮らしやすさの両立を目指すことができるのです。
上部構造評点の判定基準では、
・1.5以上:「倒壊しない」
・1.0以上1.5未満:「一応倒壊しない」
・0.7以上1.0未満:「倒壊する可能性がある」
・0.7未満:「倒壊する可能性が高い」
とされています。
◆ 内観 ◆
Before :リビング

After:リビング

Before :ダイニングキッチン

After :ダイニングキッチン・リビング

完成後の内観を見るとこうした構造上の制約があったとは感じられないほど、住まいの印象は大きく変わったかと思います。
構造上重要な部分はしっかりと残し、変えられる部分は思い切って変える。このメリハリが、耐震性と暮らしやすさを両立させるリノベーションの大切なポイントだと私たちは考えています。
◎ 残した柱を、あえてデザインに活かす
先ほど、構造上「抜けない柱」も出てくると書きました。
「抜けない柱」があると聞くと、「間取りの自由度が下がるのでは...」と感じる方もいらっしゃると思います。しかし、構造上残す必要がある柱の場合でも、間取りによっては壁の中に納まり、室内から見えない場合もあります。
一方で、室内から見える位置に柱が残る場合には、棚を組み込んだり、筋交い(柱と柱の間に斜めに入れる補強材)をあえて見せたりすることで、空間のアクセントとして活かすこともできます。
▼柱を空間のアクセントに!

▼オレンジ色の◎マークのところが柱の場所です

制約を無理に隠すのではなく、必要に応じてデザインの一部に変えていく。これも、リノベーションならではの面白さだと感じています。
◎ まとめ
「間取りを変えるために壁や柱を取ってしまって、地震のときに本当に大丈夫なの?」この疑問は、リノベーションを検討する多くの方が感じる、ごく自然な不安だと思います。
私たちがお伝えしたいのは、その自由度の裏側には、耐震診断による数値化と、抜けない柱・壁を見極める構造的な検討があるということです。残すべきところは残し、変えられるところは思いっきり変えていく。そのメリハリがあるからこそ、安全性を保ちながら、理想の住まいに近づけるのだと思います。
今回ご紹介したリノベーションモデルハウスは、実際に見学していただくことができます。間取りの変化や無垢床の質感、耐震補強の考え方まで、今なら現地でじっくりご覧いただけます。「中古住宅を買ってリノベーションしたいけれど、耐震が心配」「間取りをどこまで変えられるのか知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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