失敗しない土地探しの秘訣」 第10回 境界確定されていない土地

皆さん、こんにちは、不動産部の平です。

今回は、前回お話ししていなかった、買ってはいけない土地の一つ、境界確定のされていない土地のお話です。

 

◆境界未確定の土地

安いなと思っても買い急いではいけない土地として、境界の確定されていない土地を挙げます。


新規の造成分譲地のうち、開発許可を受けて造成している土地であれば、境界確定と測量は間違いなくきちんとできています。境界確定ができてなければ、そもそも開発許可の申請が、原則としてできないからです。

 

開発許可とは?
建築物の建築または特定工作物の建設のために土地の区画形質を変更する開発行為を行う場合で、その広さが1000㎡以上のときは、知事の許可を取る必要がある。

 

しかし、古くからある土地や、何十年も前に造成された土地。今まで建物が建っていたが、古くなって取り壊して、更地として売っている土地。或いは、古い建物がそのままあるが、契約したら建物を壊して更地で渡しますよと云うような土地。

こういう、その土地ができたのが、昭和或いは平成の初めのころ、或いはそれ以前だった場合、その土地は明確な境界確定ができていないというのがほとんどの実情です。国が一つ一つの土地の位置、形、大きさなどを確定していく作業、国土調査や地籍調査を毎年実施していますが、未だ終わったのは全体の2割もないくらいではないでしょうか。

 

 所有者が自分で買った土地で、同時期に買った隣地者も元気な内ならば、その所有者達の記憶で境界確定がスムーズに決る場合も多いですが、相続したような土地では、今の所有者自身が、自分の土地の境界を明示できない事も多いのです。そんな土地の場合、往々にして隣地の所有者も相続した人だったり、最近購入した人だったりして、土地ができた時のことを知る人がほとんどいないというケースもあります。そういう土地へよそから新しく入ってきた人が家を建てて住んだ場合、いざ境界のことでトラブルがあると、解決が難しくなります。

売買契約をするときに、仲介業者や売主が、きちんと境界確定をした上で引き渡すと約束してくれる場合は安心ですが、登記された図面もない状態なのに、登記簿の面積で契約しましょう(公簿取引)、特に実測はしませんなどといわれた場合は、買うのをやめた方が無難です。

 

 また、昭和40年代位までに所有者が手に入れた土地という場合、登記図面があったとしても、ほとんど現地で境界を特定しようのない昔のままの測量図しか登記されていないはずです。今の最新式のGPSを使って測量をしてあれば、その土地の境界点は、決められた基準地点から距離や方角を座標で記録しますので、たとえ打設した境界標が無くなったとしても、その座標を元に境界の復元ができます。つまり、境界が確定されます。しかし、昔の測量は、今の技術から見ると非常に大雑把で、測量の度に地積が変わってしまうようなやり方でした。ですから、もしこんな状態の土地なのに、自分の条件に見合っていて、ここに家を建てたいと思える場合、実測面積で契約しますと伝える必要があります。

 

但し、こちらから、境界確定をきちんとして下さいと御願いした場合、売主側は何をしなければいけなくなるかという事は、お願いする側として、しっかり知ってなければなりません。簡単に言うと、境界確定をしてくれという事は、それだけ、費用と時間が掛かる事を頼んでいるという認識を持たねばなりません。「簡単なことでしょう?」というようなニュアンスでこんな条件を伝えると売る側はおそらく契約を断ってくるでしょう。

 

売ろうとしている土地の境界確定をきちんとするという事はどんな事をすることになるのか、かいつまんで説明しておきます。単純に分かり易い例で説明しておきます。実際は、この場合より、複雑な場合も多々ありますし、中には、逆に非常に簡単にできるケースもあります。

 

普通、宅地の境界確定は大きく2つに分かれます。「官民境界確定」と「民民境界確定」です。

民民境界は、いわゆるお隣さんとの境界になり、お隣同士接している部分の境界確定をします。現地で隣地所有者と互いの土地の境界がどこか確認しあうわけです。道路が公道の場合や、一部が公共の水路に接している、公園に接しているなどの場合は、その部分の境界確定が官民境界になります。

 

 きれいな四角の土地を持っていたとします。すると一つの土地としては、東西南北4つの隣地との境界線があるわけです。その内一つは、多くの場合、道路でしょう。仮に南に道路があるとするなら、東、北、西に隣の人が持つ土地があるわけです。もし北側は2つの違う土地に接しているとなれば、東、西の1人ずつと、北側の2人。これで4人の隣地者が居る事になります。4人の土地所有者と現地で立会確認して、署名を頂く事となります。ポールを境界に立てて、確認したよという写真も撮って保存します。

 

 残るは、南の道路ですが、道路の場合は、その道路幅が市や県の道路台帳に規定してありますから、その通りの幅の確認をせねばなりません。という事は、道路の反対側の土地の所有者とも立ち会って確認する必要があります。勿論、2つの土地が有れば、2人居る事となります。市の道路であれば、市と、その2人の人との確定をしなければなりません。民民と併せるとこれで7人ですね。自分も入れて、8人です。

 土地の中では、一筆の土地を1人でなく、何人かで共有している場合も多々ありますので、そうなれば直ぐに、関係者が10人とかになってきます。その全員に官公庁が指定した日時に出てきてもらわねばなりません。

 

 官民境界確定の場合は、土地家屋調査士にその申請を市や県に出してもらいます。その後申請が受理されると、市役所や、県などから境界立ち合いの日時を指定されます。官公庁が指定する日ですから、当然平日の午前中やお昼過ぎになります。通常、隣地関係者は平日だと仕事をしています。ですから、立ち合いに出てこれない人もいます。その場合、後日その人が都合の良い日に、土地家屋調査士と個別に立ち合い確認します。そんな人が何人もいれば、それだけ確定のための期間は長くなります。ですから、立ち会って確定して、測量図を造り、確定協議書に再度捺印してもらって、書類の作成を終えるまでには、優に2~3ヶ月くらいは、掛かることになります。費用も、種々のケースにより違いますので一概に言えませんが、40~50万円位の費用が掛かります。

 

 また境界確定を実施する売主にとって、最も困るのは、時間も費用もかけてやったのに、最終的に境界の位置に承諾できないという人が出てくる事です。そうなると、境界確定は不調に終わる事になり、境界確定を契約条件として、入れていたとすれば、契約そのものができなくなってしまう事もあり得ます。


 

 買手としては、この境界確定と実測測量をしてもらった上で、土地を購入するという事は、後々のトラブルの種を消す事になり、何かの事情で、この土地を売らざるを得なかった場合、非常にスムーズに売る事ができるというメリットがあります。

但し、売り手にとっては、費用と労力をかけて、更に最終的に確定できないリスクもありますから、大きな負担です。ですから、買い手としてはこの条件を出したら、更なる大幅な値引き要求などは、しない方がよいと言えます。

 古い土地は全てやめなさいとは決して言っているわけではありません。昭和60年代以降、平成に入ってからの新しい測量図が登記されてない場合や、現地の土地を見た時に何処が隣地との境界かはっきりしておらず、境界確定はしないまま、契約してくれと云われたような土地はやめた方が良いという事です。

 

さて、これまで希望条件に合っていて、安いからといって、直ぐに飛びついては行けない土地について話してきました。ご参考になったでしょうか?

 

次回は、「もっと良い土地があるはずだ」と、なかなか土地が決らない方に対して其処から抜け出す方法を、お話ししたいと思います。

ではまた。

 

株式会社 セイコーハウジング 不動産部 平忠彰