住宅ローン控除の控除額変更のニュース

皆さん、またまたお久しぶりです。あっという間に年末が近づいてきてしまいました。コロナ、コロナで明け暮れた令和2年も残すところ2週間となってしまいました。

12月という時期でもあり、来年度の税制改正大綱もまとまったようで、これから家を建てようという方々や、そのサポートを仕事としている私達も気になるところです。

 

12月初旬の木曜日(12/3)に、日経新聞の電子版で、上に掲げたこんなニュースが流れた。他の新聞記事にも、同じような内容のニュースが流れたらしく、今土地探しをしているお客様から、話している途中で「ローン減税が変わるんですって?」と早速聞かれた。決定して変わるとしても2022年度からだから、今住宅を建てようとしている人にとっては関係のない話ではあるが、住宅ローン減税については、この報道のような書き方や話し方が多いので、ここで住宅ローン減税について書いておきたい。

<1%減税の恩恵も十分でないのに、政府はさらに厳正幅を減少させようとしている>

これらの報道の要点は、1%を切る住宅ローン金利が大半を占めるような状況の中で、国としてローン残高の1%に当たる税額を還付するというのは、優遇しすぎであり見直さねばならないという趣旨である。住宅金融支援機構の調査では、現在住宅ローンを組んでいる人の60%が変動金利のローンを選択しており、変動金利ローンの金利は0.4~0.8%くらいがほとんどの中で、残高の1%を税額控除するのはやりすぎだという訳である。

 

私も2016年2月に書いたこのブログで、「お金を預けたらお金を取られ、お金を借りたらお金をくれる時代ですよ」、と題して低金利時代に、住宅ローンをもっと積極的に考えましょうという趣旨の事を書いたので、批判めいたことは言えないのだが、この控除額の見直しというのは、制度を作った政府そのものがその実態をきちんと見ていない。なぜなら制度で謳っているローン残高の1%がまるまる還付される人など滅多にいないのである。きちんと計算してみればわかる事なのだ。

 

但しこの計算は、ローンを組む人、一人一人のそれぞれの条件を、計算要素として入れてやる必要があり、誰でも簡単にできる単純な計算ではない。この控除制度の中身は、その年末のローン残額の1%を上限に、支払った所得税が返ってくるという事で、その所得税から引ききれない場合は、住民税から控除されるという制度。この「ローン残高の1%が還付される」という言い方が独り歩きしていて、その制度の中身を見てしっかりと計算している人は少ない。

 

通常支払っている税金は所得税より住民税の方が高い、しかし還付される税額は、住民税の方に頭切りがなされていて、前年度課税所得の7%まで(金額にして136,500円)が上限。だから給与所得の違いやお子さんの年齢、配偶者の所得により支払っている所得税が一人一人違うから、一人ずつ、条件を入れて計算してみないと、「控除額はいくらで、ローンの支払利息より多い・少ない」という判断はできない。計算すると、今家を建てようと考える20代後半から30代前半のサラリーマンでは、殆んど支払利息を上回る税額の還付がある人はいない。例えば下記のような条件で収入を変えて計算してみよう。これは当社で家を建てようと来られる平均的なサラリーマンの属性から、仮定した条件です。

奥さんの配偶者控除の額で所得税は変わるし、扶養控除は16歳からだから、お子さんの年齢によっても支払う所得税は変わってくる。11年目からは建物価格の2%を3年で割った額とローン残高の1%を比べるから、建物価格によっても控除額は変わってくる。だから、これだけの条件を一人一人入れて計算していかねばならない。ローン控除と同じく、住まい給付金も給与所得によって支給される額が変わるが、ここではローンの控除額だけを見ていこう。

 

上記の条件で仮に35年間1%の金利で3500万円を借りるとして、収入が400万~700万までのパターンを計算してみると下記の表のようになる。

 

ここで一つ付け加えておきたいのだが、ネット銀行や都銀の変動金利ローンは基準金利から2%前後割引した金利でジャパンネット銀行の0.385%を筆頭に0.4%~0.8%くらいまでの低金利である。だから、住宅ローンを組む人の6割が変動金利ローンを選択しているというのはうなずける。しかし、少なくとも徳島の地銀ではこんな低金利の変動ローンの取り扱いはない。むしろ10年固定の1%前後の金利よりさらに高い金利がほとんどなので、徳島の場合は変動金利ローンを借りる人はごく少ないと思われる。全国平均のデータとはかけ離れた事情だという事は分かった上で読んでいただきたい。

<35年間1%で借りた人は普通の所得では減税額が利息を上回ることはない>

金利1%での計算結果は下記の表のようになる。

このようにローンの利息負担額をローン控除額が上回る人はほとんどいないといって良い。

<0.8%で借りたら、年収600~700万以上の人は利息より減税額が上回る>

これが、35年間0.8%で借りられたとしたどうなるか?

すると下記のような計算結果になる。

結果を見るとわかるように、35年間0.8%で借りられて、35歳で年収600万、700万あるならば初めて、利息負担より、減税額の方が多くなる。(赤字の部分)

 

仮に早いうちに結婚していてお子様がもう少し年齢が高ければ16歳からの扶養控除があるから、支払う所得税が減り、ローン控除の額は減額となる。

考えてみてください。徳島で、35歳で、年収600万を超える所得があるサラリーマンがどれくらいいるだろうか?当社に来店されるお客様でいうと、非常に少ないといえる。

 

ごく普通のサラリーマンが住宅ローンを組んだ時、仮に今の低金利の恩恵を受けて35年間1%を切る金利で借りられたとしても、政府が懸念するような、支払う利息以上に減税される人はごくわずかだという事。

 

現状制度の実態がそうであるのに、、減税額が大きすぎるから、ローン残高と支払った利息を比べその小さい方の額を取って控除額とするという制度改正は、更に減税額を圧縮することになり、住宅建築への意欲をそぐ方向にしかつながらないのではないだろうか?今回の税制改正については、大いに疑問に思うところです。