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熟年夫婦の夫から妻へ、自宅の生前贈与を申し出たら、妻が断った!

それも妻は電卓で一生懸命計算したうえで断った、何の計算をしたのか?

 

夫:「なぁ、新聞見たか?」

妻:「なぁに、何の話?」

夫:「いや、相続の法律改正の話だよ。40年ぶりに変わるそうじゃないか?」

妻:「えぇーもちろん知ってるわよ。あなたももう若くはないから、私にとっては切実な問題!しっかりと読んだわよ。」

夫:「おいおい、俺の死んだ後のことをやっぱり考えてるんだなぁ。なぁ~んかショックだな。」

 

妻:「そりゃ、そうよ、お互いいくつだと思ってんのよ?もう二人とも還暦をとっくに回ったのよ。」

「この前、お花の発表会があったでしょう。あの打ち上げの時に、同年代の奥様方と話してたら、最近ご主人亡くした人の話が出て、皆、生きてるうちに、相続の事はきっちりと話をつけとかなきゃ、ご主人が亡くなった後に、本当に大変な思いをするわよ・・・って、結論になって、教室に通ってる税理士の奥様に講師役になってもらって、勉強会までするようになったのよ。お花の教室の帰りが、最近ちょっと遅くなってるでしょ。」

 

夫:「ほぅ~、女はやっぱり現実的だね。頑張って勉強してくれ、それだったら俺も安心して三途の川を渡れるよ。」

 

妻:「そうでしょう?この年になった女たちは、「愛があれば、お金なんていらないわぁ」なんて死んでも言わないから。」

 

夫:「いや、だったら、夫婦間の生前贈与の話も出てきたんじゃないか?20年以上連れ添った夫婦であれば、もし、自宅の土地と建物が夫だけの名義になってたら、無税で妻に贈与できるっていう事も。」

 

妻:「もちろん、そのことも知ってるわよ。2000万までの評価額なら、贈与税はかからないって。」

 

夫:「いや、この制度は前からあったんだが、贈与した後に、夫が亡くなってしまった場合、その家・土地は、残った相続人で分ける財産の中に戻して、分けなきゃならなかったんだ。相続人同士の分割の話の成り行き次第では、残された妻が住んでた家を売却したり、他の相続人に渡さなきゃならないこともあったんだ。それが、今度の改正では、その自宅の土地・建物は、分割する財産の中に入れなくてよい!という事に変わったんだよ。」

 

妻:「え、そうなの?それは見落としてたわ。」

 

夫:「だからなぁ、お前に、この家と土地を今のうちに贈与しとこうかと考えてるわけだ。そうすれば、俺が死んでも、この家から出ることなく、安心して暮らせるだろう? 良い夫だろう!?」

 

妻:「良い夫かどうか、ちょっと待って、計算してみる!」

 

夫:「えぇ、何を計算するんだぁ?」

 

妻:「税金よ!」

 

夫:「いや、だから無税であげられるんだってば!。」

 

妻:「それは、贈与税の話でしょう。家と土地をもらうという事は所有権を移すという事でしょう。そしたら、別に税金がかかってくるのよ。」

「まずは、あなたから私に所有権移転の登記をする時の登録免許税、そして後から来る不動産取得税、これを計算しなければわからないわ。」

 

夫:「へぇ~、そうなんだ。」

 

妻:「えぇ~と、固定資産税の納税通知書は、どこだっけ?」

「あ、ここの引き出しにあるはず。あ、あった、あった。一緒にこの税金ハンドブックも入れておいたんだ。いろんな税金の税率が書いてあるから、自分で計算できるわ。えぇ~と、土地の評価額は1020万。建物は740万か、もう建ててから15年たってるもんね。こんなもんかしら。」

「合わせて1760万、という事は家も土地も両方もらっても2000万にはならないから、贈与を受けても贈与税は無税ね。」

「じゃ、登録免許税は、どうなるのかな。土地については、平成31年3月までは、1.5%か。建物は平成15年に建てたから、まだ20年たってないわね。という事は軽減税率になるから、2%じゃなくて0.3%になる。1020万×1.5%=15.3万 740万×0.3%=2.2万  登記をしてもらう司法書士の先生に4~5万は報酬として払わなきゃいけないだろうから、全部で22~23万くらいだなぁ」

 

夫:「へぇ~、登記を移すだけで、そんなにかかるのかぁ?」

 

妻:「そうよ、贈与の場合は、相続して移転登記するときの5倍の税率になってるのよ。」

「問題は、不動産取得税よね。これが結構面倒な計算をしなきゃいけないの。

まず建物 うちは平成15年に建てて、住宅性能評価で耐震等級2を取ってるから、軽減税率の適用を受けられる家になる。また価格の控除額は1200万円・・・・っと。

という事は  (740万-1200万)×3%=0円

次に土地は・・・・っと。まずは軽減額を計算しなきゃいけないイとロの数字の大きい方を選ぶ。

ロの計算をしないとね。

土地1㎡の評価額は、1020万÷215㎡=4.74万で

計算は4.74万×1/2×200㎡×3/100=14.22万・・・・で、ロ=14.22万>イ:45000円

土地の取得税は=(1020万×1/2×3/100)-14.22万=15.3万-14.22万=1.08万円

わぁ~良かった。不動産取得税は1万円ちょっとで済むわ。

 

妻:登録免許税と不動産取得税、併せて、23~24万円というところね。という事は、この家と土地の生前贈与はいりません!

 

夫:えぇー、なんでだよ。ただであげようってのに!

 

妻:だから、ただじゃないでしょう!23~24万円、払わなきゃならないじゃない!あなたが亡くなって相続したら、登録免許税は1/5だし、相続の場合は不動産取得税はかからないのよ。相続するのは息子のタケルと私だけでしょう。タケルはもう、家は持ってるし、子供たちも中学、高校行ってる。そのタケルがこの家と土地をもらっても使い道がないはず、だから、当然私がこの家は次ぐことになる。それに言っちゃ悪いけど、あなたの財産は他に貯金があるだけでしょ。私は、この家があるのなら、お花の教室の収入と年金で何とか生きていける。他に、鴨島の父が残してくれた、アパートの家賃収入もいくらか入ってくる。だから、あなたの貯金はほとんどタケルにあげるつもりでいる!。これから二人でこの貯金を少しずつ使って行っても、80になるころは、この家と土地の評価額と同じくらいの残額になってるわよ。この家。・土地と貯金の残額を合わせても、私とタケルの相続税の基礎控除4200万を超える財産はないはず、だから相続税はかからない。

それに同居している私が、この家・土地を継げば小規模宅地の特例で8割減の評価になるから、ますます相続税の支払いの心配はない。

ということで、贈与よりも相続でこの家と土地をもらう方が安い費用でもらえるってことになるわ。だから贈与は必要ありません!

 

夫:よっ、よく、そんな計算、勉強したな。すごいわぁ~。参った、参りましたぁ~!

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※このように、生前贈与で間違った相続対策をする人は多いのです。相続財産の額、相続人の数、その他それぞれの家庭の事情により、対策の方法は変わってきます。必ず、専門家に相談の上、翌々考えて実施してください。