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再婚して20年の、還暦を過ぎた夫とアラフィフの妻との会話

「なぁなぁ、相続の法律が今度改正されて、妻の自宅への居住権が認められるようになるんだってさ」

 

「何よそれ、何が言いたいの?じゃ、あたしは今の法律では、この家に住む権利がないってこと?」

 

「いやいやそんなこと言ってないよ、俺が死んだ後の話だよ」

「もし、今俺が死んだら、お前とは子供がいないから、俺の相続人は、20年以上も前に別れた洋子との間の雄一とお前だけなんだよ」

 

「えっ、なんで別れた奥さんとの子供が出てくるのよ。私とは、お母さんのお葬式の時に、顔を見たくらいで話したこともないのよ。」

 

「いや、相続となると、血を分けた子供なんだから、相続人になってしまうんだ。俺も成人式の時に会って以来だから、10年以上会ってないことになる。もういい年になってるな。確か、結婚して子供もできてるはずだ、その雄一とお前の2人が話をして、相続人として1/2ずつ分けることになる。」

 

「いやよ、話したこともない人とお金の話するなんて!!」

 

「まぁ、まぁ、そんなに興奮しないで!あくまで仮の話なんだから・・・」

 

「あぁ、そうね。思わず、身震いしそうだったわ。あなたは生きてるんだから、死んだときの話なんてしないでよ。」

 

「いや、いや、相続のことは死んでから考えたんでは遅いんだよ。こうやってまともな内に考えとかなきゃー」

 

「なぁに、心配してんのよ。言っちゃ悪いけど、残してくれる財産なんて、たかが知れてるじゃない。貯金もそんなにないし、この家・土地があるくらいで、あとは付き合いで持ってる株だけでしょ。分けるも何もないわよ、私はこの家に住んでいければ、自分の仕事があるんだから、なんとか生きていける!。」

 

「う~ん、ま、そうは言っても、ちょっと計算してみよっか。」

「今年の家・土地の税金の納税通知書来てたよな。」

 

「あ~、あの引き出しに入ってると思うわ。・・・・・これっ?、支払いはもう済んでるわよ。これで何がわかるの?」

 

「この通知書に固定資産税評価額が書いてあるから、それを見ると家と土地の相続税評価額がだいたい掴めるんだよ。」「あ、電卓貸して!」

「へぇ、建物評価額は690万だって!うちの家、たったこれだけかぁ!」

 

「そりゃ、あなたという生き物が15年以上棲家として使ってるんだから、高い評価、されるわけないよ!(笑)」

 

「どういう意味だよ、それ!(笑)」

「土地は、え!、結構高いな。1050万だってさ。80坪あるから、仕方ないかぁ。という事はこれを0.7で割り戻して1500万。これがうちの土地の公示地価相当額。相続税評価額は路線価閣で計算するから、これの8掛けという事になる。1500万×0.8で1200万だ。家・土地で合わせて1890万の評価という事か。」

「貯金は・・・・、郵便貯金とあわぎんと併せて、1000万もないかぁ~。900万だ。」

「えぇ~と、おじさんの株は今いくらだ。日経、日経、真帆!日経新聞取ってくれ。はい、ありがとう、○○製紙、○○製紙、あ、あった。へぇ~今620円か!上場したころと変わってねぇ~なぁ。」

「620円×8500株で・・・と、527万だ。+900万+1890万で財産は締めて3317万なり。」

「相続税の基礎控除額は3000万+600万×相続人数2人だから4200万円という事になる。」

「まあ、少々おじさんの株が上がったとしても、基礎控除4200万を超えることはないな。・・・合計しても3300万余りだ。小規模宅地の特例を使わなくても、基礎控除額の範囲内だな。よし、相続税は払わなくて済むぞ!申告もする必要なし!どやさぁー!」

 

「威張るとこなの!?」

 

「雄一は取り分として3317万の半分、1658万5千円を主張してくる可能性はあるな。となると、株を全部売って、貯金と併せたとしても1427万。これじゃ足りないから、家・土地を売却して残りの230万余りを払わなきゃいけなくなる。」

 

「えぇ~、じゃ、私この家に住めなくなるってこと?」「私ももう50を過ぎたおばさんよ、あなたに騙されたころの女の武器は使えないわ。今更玉の輿に乗れるわけないし!金持ちの独居老人を探さないといけないの?」

 

「おい、おーい!真顔で冗談云う人だなぁ」

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「だから、ここで最初の話に戻るわけだ、相続が発生しても、妻に今まで住んでいた配偶者の家にそのまま住む権利が認められたという事なんだ。今までの相続法では、売却して払うしかなかったんだが、妻の居住権という権利を認め、所有権と別に評価することができるようになるんだ。という事は仮に家・土地1890万円の居住権と所有権を半分ずつと評価すれば、雄一が945万円の所有権を持ち、お前が945万円の居住権を持つようにする。株と貯金1427万も半分の713万5千円ずつ分けて、きれいに半分にできる。そしてお前は居住権を持つわけだから、死ぬまでこの家に住めることになるんだ。お前が亡くなったら、雄一に所有権があるんだから、雄一が好きなように処分すればいいさ」

 

「えぇー、なんかうれしいような、損をしているような。住めるのはいいけど他人が持っている家に死ぬまで住み続けることになるわけでしょ。なんかいやだわ。もっとすっきりできないの?」

 

「いや、ちゃんと考えてるよ、他でもない、大事なお前の事なんだから。」

 

「ほんとうに~?、トイレで紙が切れてても、あとに入る私のために、補充してもくれないあなたがぁ~? ほんとに考えてくれてるの? 😕 」

 

「ほんとだってばぁ。ちゃんとすっきりする方法があるんだよ。」

 

「なに、どうするの」

 

「もうお前とも結婚してから20年が過ぎたよな。」

 

「そうね。騙されてからもう20年も一緒に暮らしてるわね。 :mrgreen:

 

「だから、その言い方はよせって! あの時は俺も急に一人になって、寂しくなって、まともな精神状態じゃなかったんだから。」

 

「え、何よ。誰でもよかったってこと?今更、そんなこと言わせないからねー 😈 」

 

「あはぁ、はぁ!まあ、まあ、冗談はよして、そのすっきりできる方法も今度の法律の改正でできるようになったことなんだよ。」

 

「何、どうするの?もったいつけないで、早く教えてよ」

 

「今までの法律だと20年連れ添った夫婦間なら、配偶者に贈与税は無税で、2000万円までの贈与が認められていた。しかし、その後相続が発生したら、その贈与分も特別寄与分として相続財産の一部と扱われ分割対象となったんだ。それが、今度の改正で、20年以上婚姻状態にあった配偶者に対して行った2000万までの贈与は特別受益にあたらないとして、相続財産に入れなくてよくなった。だから、今のうちに、お前にこの家・土地を贈与しておけば雄一との財産分割の時に、この家・土地はその分割の対象財産からは外れることになって、お前は死ぬまで、自分の家としてこの家に住むことができるようになるってことだ。」

 

「やったわね。じゃ、早く贈与しといてよ。登記だけすればいいんでしょ。」

 

「あぁ、早速、知り合いの司法書士に頼んで、贈与契約と移転登記の手続きをしてもらうよ。」

 

「ところで、この家・土地が私のものになったら、あなたの居住権はあるの?」

 

「えぇーーーー!」