気になるキーワードで検索してください。

遺言書を書いたら税金が安くなる!?

世の中の動き 仕事上で思うこと

「遺言書を書いたら、相続税が安くなるってホンマかいな?」
と突然、以前からお付き合いのある地主さんに聞かれました。「ホンマです!」と言いたいところですが、まだわかりません。この「遺言控除」は、まだ与党内で検討されている段階だということなので、制度として決定し、施行されるかどうかはまだ今のところ、わからないです。
地主さんや大家さん方は、今年から、相続税を納税する場合の課税財産の基礎控除額が4割も減額されたため、かなりの増税観を持っていらっしゃるようで、相続関係の情報には非常に敏感に反応されます。土地や家屋の売買、或いは所有する収益物件のリフォームや、自宅の建替えなど、何か行動に移そうとされる時には、必ず、相続時の事を考える必要があり、高齢の地主さんや大家さんも多いので、会って話をするときに、「○○したら、相続税が安くなるってホンマかいな?」という質問を最近よく受けます。
相続に関しては、その方の財産状況と相続人の状況の違い、そしてご本人の相続に対する意向の違いにより、ケースバイケースでその対策に違いが出ます。まったく同じ対策になる事はありません。一概に「○○したら効果がある」「△△したら安くなる」ということは言えません。場合によっては、まったく同じ相続対策を実行しても、その人によっては、大きなプラス効果になる人と、逆にマイナスになる人がいる事もあるくらいです。
相続について気になるという方にまず、何をしたらいいかアドバイスするとすれば、ご自分の財産の棚卸をすることが何より大事ですと申し上げています。自分の財産をひとつ残らず、列挙して、一覧表をつくるのです。その時に注意するのは、マイナスの財産も残らずあげておくということです。ローンが残っているのであれば、毎年、通帳に引落が記帳されているでしょうから、相続発生後でも家族にとっては気づきやすいですが、困るのは、保証人になっているような場合です。この保証債務というのは、本人以外にはわかりづらい債務です。だからこそ、お元気なうちに、きちんと負の財産の所在を明らかにしておくのです。この財産の一覧表があるだけで、いざ相続が発生した時に、いかに残された家族が助かるかは、ご本人が想像する以上だと確答できます。
 このようなマイナスの財産もすべて網羅した上で、財産の一覧表を作り、それぞれ、だれに何を遺すかということを考えていくわけです。当然、この一覧表をもとに、財産評価をして、実際にどれくらいの相続税が発生するかということを試算する必要がありますが、ここは専門家に依頼する必要がありますね。税理士さんの出番です。
 但し、そのあとの、不動産を使った節税対策や納税対策については、詳しい税理士さんはそれほど多くないのが現実ですので、私たちのような不動産に詳しい専門家への相談が必要です。そして最も難しいのが、不動産の分け方です。財産が多くても少なくても、この不動産の分け方でトラブルが多く発生します。
ここで最初に戻りますが、様々な相続対策があり、様々な専門家が種々の対策を、それぞれにあげつらう中で、最も効果の高い対策の一つが、遺言書です。遺言を残すことで、大半の相続トラブルが回避できるということです。但し、遺言にも種類があり、すぐに役立つ遺言と、すぐには役に立てない、遺言としての執行力の弱い遺言とがあることは覚えておいてほしいことです。
 大きく分ければ遺言は3種類。自筆証書遺言秘密証書遺言公正証書遺言 の3種類です。
例えば、亡くなったお父様の葬儀費用の支払いを要求されて、相続財産としての預金口座から、お金をおろしたいと思った時に、公正証書遺言にその預金を○○に相続させると書いてあって、その○○さんがその遺言書と通帳を持参して銀行へ行き、他に必要な書類を揃えて、正規の手続きを取れば、預金を下ろすことは可能です。しかし、自筆証書や秘密証書の遺言書を銀行へ持って行ったら、他の書類がそろっていたとしても、それだけでは預金を下ろすことはできません。自筆証書遺言や秘密証書遺言は裁判所の検認が必要となるからです。
<検認=遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。また,封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。
 検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。>

裁判所での手続きですから、今日行って、今日できるという手続きにはなりません。一月単位の日数がかかります。
この面倒さを避けられるのが、公正証書遺言です。これは、公証役場で2人の証人のもと、公証人が作成してくれる遺言です。徳島市で言うと八百屋町三丁目にある公証役場でつくることになります。その詳しい作り方は公証役場のHP(http://www.tokushima-notary.com/)に書いてありますので、ご参考までに。
但し、公証人が、その人の家庭事情を慮って、こうした方が良い、ああした方が良いというアドバイスまでしてくれるわけではありません。
 その遺言の中に書く、分割の仕方については、別途専門家に相談するのがいいでしょう。資産の大半が不動産だという場合、やはり、不動産に強い専門家を選ばないと、効果的でもめにくい分割の仕方や節税や納税対策としての効果がある分割方法は、望むべくもないと言っておきます。
但し、前にも書いたことを繰り返すことになりますが、くれぐれも一つのアパート、一つの土地の資料を持ってきて、この財産の相続税対策としては何が一番いいだろうか?・・・・なんて相談の仕方はやめてください。そんな相談の仕方では、対策の考えようがありません。必ず財産の棚卸をしてその一覧表を持って、相談をかけてください。 (不動産部 平:日管協 上級相続支援コンサルタント)